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かもめ食堂のいい空気感はどこから来るのか

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Amazonプライムビデオに「かもめ食堂」が追加されていたので、早速観てみました。

「かもめ食堂」は、日本からやってきたサチエがフィンランドで食堂を始めるお話。

ひょんなことから繋がったミドリとマサコと協力しながら「かもめ食堂」を営業します。

静かで大きな出来事は起こらないけれど一歩ずつ前進して、人とのつながりや笑顔の輪を広げていく、そんな映画です。

背伸びをしすぎず、淡々と自分の信念を貫くかっこよさ

サチエ(小林聡美)は、周りを幸せにしながら自分を貫く憧れの人

ミドリ(片桐はいり)は、真面目で警戒心が強い頑張り屋さん

マサコ(もたいまさこ)は、この人がいればなんとでもなるだろうと思わせてくれる超人的な人

として描かれているように感じた。

サチエの背伸びをしすぎず、淡々と自分の信念を貫くバランス感覚のようなものがとてもかっこいいと思った。

「ガイドブック見て日本食を食べたいと思って来る人はこの店の匂いと違う」(客が来ない時期でも宣伝して広げようとしない)

「やりたくないことは、やらないだけなんです」

「ぼうっとするのって、結構難しくないですか」

あれもこれもと欲張らず、でも日々を確実に自分らしく前に進めていく。

そして敵と思っていた人も味方にしていく求心力がある。

もっともっとと焦る気持ちや、のんびりしたいダラダラしたいという怠惰な気持ちと折り合いをつけながら生きている私から見たら、サチエの姿はもはや悟りの境地、かなり完成された人間のように見えた。

ミドリとマサコとの関係性もすごくよくて、3人が集まった時のやり取りはなんだかおかしくってクスッと笑ってしまう。

かもめ食堂の「いい空気感」の要素

映画全体を流れるこの「いい空気感」はなんだろう、と考えてみた。

言葉、声、間、人と人との信頼、寛容さ、リラックスした雰囲気、おしゃれなインテリアやファッション…

どれもこれもが絶妙なのだ。

これほどの「いい空気感」のある映画はあまり観たことがなく、心地よくまどろみながら鑑賞した。

それから、サチエの「同調ではなく日本人として外国で生きる」姿も良い空気感を作っていると思った。

サチエはフィンランド語がペラペラで現地を知る努力はしているけれど、それは現地に同化するということではない。

日本のソウルフード・おにぎりをかもめ食堂で提供し、合気道もする。

どちらかがどちらかに影響を与えて変えてしまうということではなくて、ある程度の距離感を保ったままゆるやかなキャッチボールをし続けるようなフラットな関係を続ける。

ここが心地よさの原点かなと思った。

価値のある、あたたかい時間を積み上げていきたい

「かもめ食堂」を観て、充実とはなんだろう、価値のある時間とはなんだろう、そんなことを考えた。

それは静かで素朴なものかもしれない。

毎日出かけなくても、予定がいっぱいでなくても、淡々と自分のやるべきことを続け、身近な人と心を通わせ、たまにぼーっとする。それも価値のあるあたたかな時間だ。

私が探していたものはなんだったのだろう?

遠くではなく、身近にあったのかもな。

リラックスした空気感の中に、どこか背筋が伸びる思いがするような映画だった。

そして最後に思ったのは、シナモンロールがとても食べたいということ。

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